六字訣

この記事では、タオの修練法の六字訣を紹介します。

目次

六字訣とは

六字訣とは、発声と五行を対応させた修練法です。

一説によると、1500年以上の歴史がある修練法とのことです。

六字訣の内容

嘘(xu)、呵(ke)、呼(hu)、呬(si)、吹(cui)、嘻(xi)の六文字の特定の発声法によって肝、心、脾、肺、腎、三焦の臓腑および付随する臓腑の気を整えます。

六字訣と五行の関係

五行とは、この宇宙の構成要素を「木火土金水」に分類したタオの世界観です。

この六字訣を使って五行の各要素に対応する「否定的な要素」を「肯定的な要素」に変換することで、自分自身の気を浄化、精錬、保護できます。

例えば、「木」に属する否定的な感情である「怒り」は「肝」を傷つけます。そこで、六字訣の「嘘」の字を使って肝に働きかけ、怒りの感情を肯定的な感情である「信頼、思いやり」に変換します。そうすることで、木に属する臓腑を始めとした各要素が肯定的な気に浄化、精錬、保護されます。

こうして、五行の各要素を一つずつ修練していくことで、小宇宙である自分の体内の気が整い、この整った気を丹田に集めた後に周天させることで、自分自身の気が肯定的な要素で満たされていくのです。

個人的には、この六字訣は起動装置(スイッチ)の役割だと思っています。

重要なことは「意念で五行に対応する否定的な要素を肯定的な要素に変換すること」だからです。

その意味では、六字訣は「意念発動の為の起動装置(スイッチ)」だと考えて日々修練しています。

対応関係

「嘘」は肝をつかさどり木に属する。

「呵」は心をつかさどり火に属する。

「呼」は脾をつかさどり土に属する。

「呬」は肺をつかさどり金に属する。

「吹」は腎をつかさどり水に属する。

「嗜」は、三焦をつかさどる。

六字訣 呵/嘻
五行
五臓 心(心包)
五腑 小腸(三焦) 大腸 膀胱
五常
(現代語) 信頼、思いやり 喜び、幸福 公平、寛容 正義、勇気 優しさ
五志 怒恨 過喜 思憂 悲哀 恐驚
(現代語) 怒り 短気、憎悪 心配、不安 悲しみ、憂鬱 恐れ、緊張

六字訣の日常修練

伝統的な修練法は細かい作法があるので、下に紹介します。

しかし、重要なことは作法ではなく、「意念で五行に対応する否定的な要素を肯定的な要素に変換すること」ですので、細かい作法にこだわり過ぎないほうが良いでしょう。

修練法

方角

南を向きます。

時刻

丑、寅、卵、辰、巳(夜11時から翌朝11時まで)

姿勢

心が落ち着く楽な姿勢で座位か立位をとります。

唾液を飲み干す

先ず上下の歯を接触させて36回咬み、撹海を9回行い、唾液で十余回口をゆすいで、意念によって呑み込みます。

実践

やや頭を下げ、日の中で字音を念じながら息を吐き、対応する臓腑の否定的要素(邪気)を排除します。

字音は聞こえないように念じ、吐く息も聞こえないように吐きます。

耳に聞こえるような荒い呼気をすると、却って臓腑本身の正気を損なうからです。

呼気も黙読も終わったら、やや頭を上げて、こんどは鼻から天地の清気をゆっくりと吸い込んで臓腑自身を充満させ、それを充実させます。

息を吸うときも吐くときと同じく、耳に聞こえないように静かにしないと臓腑自身の正気を損います。

字音を念じるときや呼吸の時間については、呼気は吸気よりも長くて良いでしょう。

そしてひたすら意念を字音の黙読と呼吸に集中します。

健康のために行う六字気訣は、嘘、呵、呼、咽、吹、嗜の順序で、各文字の発音を念じ、 6回息を吐きます。そして吐く時間と吸う時間は等しくします。

毎日1~ 2回行います。

まとめ

六字訣とは、発声と五行を対応させた修練法で五行説に対応しています。

タオの修練を行う上で大切なことは、「意念で五行に対応する否定的な要素を肯定的な要素に変換すること」です。

その中でも特に大切なことは、否定的な感情を肯定的な感情に変換することです。

日々実践していると、否定的な感情が湧きづらくなり、肯定的な感情に満たされるようになることに気づくでしょう。

その感情のエネルギーこそが、小周天で用いる気の中核となる要素のです。

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