【まずはここから】タオとは。その目的や気功との相違

この記事では、タオとは何か?についての概略をお話させて頂きます。

目次

タオって何?

仙道

タオのことを、「仙道」と呼ぶこともあります。

仙道とは、文字通り「仙人への道」のことです。

目的は「不老不死」となることです。

仙道の世界観では、私達の死後は「大いなるタオ=すべての根源」に還っていくことになるのですが、仙道ではこれを現世に生身の肉体を持ったまま実現しようとします。

そして、それを実現した人間のことを「仙人」と呼びます。

この仙人にも修練のレベルに応じて「地仙」「天仙」「神仙」等の段階があります。

ただ、現代的に「不老不死」を捉えると、「自由」と言えるのではないかと思っています。

内丹術

内丹術もまた、タオの呼び方の一つです。

自分自身の中(内)にエネルギーの塊である「丹」をつくり、自分自身がこの丹と一体化し、その丹を「大いなるタオ」「大いなる宇宙」と一体化させることで「仙人」になることを目指します。

この時に「気」という物質的な感覚のエネルギーを活用するところが、頭の中での空想や観想と決定的に違うところです。

今回はタオの目的とゴールについて述べていきます。

なお、私はは、本記事執筆の2019年時点でそのゴールに到達してはいません。

よって、「仙道内丹術の古典に基づく知識」と「実践経験上からの推測」に基づいて述べさせて頂きます。

※参考文献

「築基参証」(許進忠著)

「道学通论」(胡孚琛著)

タオの目的とゴールは何?

目的

仙道内丹術の目的は、自分自身が「タオ」と一体になることです。

ここで言うタオとは、「この大宇宙の全ての元であるもの」「この大宇宙を生み出したもの」または「この宇宙そのもの」というような意味です。

人は皆、死ねばこの大いなるタオに還って行くのですが、タオでは、この現世で生を受けているこの肉体を持ったままタオと一体になることを目指すことに特徴があります。

ゴール

目的を達成している状態、つまり、大いなる宇宙と一体となった状態です。

これは、仏教、特に禅宗の用語でいう「悟り」のうち、「大悟」に当たると考えられます。

タオの効果

タオを実践する効果について、胡孚琛老子の著書より引用いたします。

  1. 修行者の人生観を変え、行為様式の改変を促すこと
  2. 人間の気質を変化させ、自身で情緒を制御できるようになること
  3. 人体の潜在エネルギーを目覚めさせ、脳の奥深くに眠る智慧を開発すること
  4. 体質を改善し、病を取り除いて身体を健康にし、人間のバイタリティー(生命力)を奮い起こすこと
  5. 寿命を延ばし、さらには生死を超えてしまうこと

「道教と仙学」胡孚琛著/神坂風次郎訳

⑤の「生死を超えてしまうこと」が究極の目的ですが、①~④の段階でも、人生において十分過ぎるほどの価値があると思います。

悟りって何?

「悟り」の概念は、タオの古典には見当たりませんが、タオをベースにする道教が歴史的に仏教と相互に影響し合ってきた背景があるので、少なからず仏教、特に禅宗の「悟り」の概念を取り入れている傾向も見られます。

悟りの概念を理解することは、タオの実践を進めるうえで役に立つので、ここで参考までに述べさせて頂きます。

悟りの概念には、以下「大悟」と「小悟」の2つの段階があると言われています。

大悟

本当の悟り。自分が仏になった段階

小悟

悟りの初歩の段階に到達した状態

タオとの対比

個人的な修練経験からの推測では、タオでは、主に大周天行を行う「煉気化神」が小悟、内丹術が完成する「煉神還虚」が大悟にあたるのではないかと思っています。

当サイトのスタンス

タオを実践するにあたり、最終的な目的は、「不老不死」です。

但し、不老不死といっても、永遠に歳を取らない、永遠に死なないということではないと思っています。

タオの古典を読んでいると、そのような逸話も沢山ありますが、個人的な見解としては、そういう世界があったらロマンがあるな、と思う反面、現代においてそれを目指すことは人生において必ずしもプラスにならないな、と感じています。

そうではなく、タオの目的の不老不死とは、「生」の幸せや楽しさを妨げる「死」に対する恐怖から自分を解放し、今ある生を味わい尽くすことだと感じています。

仙道研究家かつ実践家の小野田大蔵氏は著書の中でタオの目的について次のように述べています。

少し長いので理解に必要な範囲で引用いたします。

なお、引用中の「仙道」とは、当サイトで言うタオと同義と捉えてください。

仙道の目的はズバリ言って「不老不死」です。それは平易な言葉で言えば、老いの不安や死の恐怖を克服して健康で長く楽しく、生きるということです。

~中略~

古代の中国民族の間では、生は本来楽しいもの、楽しくなければならないものという思想が一般的でした。もちろん現実には彼らの生活は苦しみの連続でした。しかしそれは生き方がまちがっていて、そのため本来楽しいはずの生が損なわれているのだという考え方に立っていました。だからその生活のあり方を改め、楽しみを妨害しているものを取り除けば、当然人生は楽しいものになるというふうに考えたのでした。

~中略~

そこで楽しみを妨害しているものは何だろうかと、とことん追求していった結果、それは究極的には死に対する恐怖だという結論に達しました。

~中略~

そこでこの老病死の三つを取り除くことが出来れば、人生は本来通りの楽しいものになると彼らは考え、それを克服する方法を真剣に探究したのです。これが不老不死といわれる技術です。

要するに不老不死ということは、五体健全で、不安のない楽しい生を長くつづけるということで、これこそ人間としての真実の生き方であり、そういう生を確保することが仙道の目的であるということです。そして、そういう生き方を真生といいます。

「現代仙道百科」小野田大蔵著/白揚社

第一文にズバリ全てが要約されています。

五千言坊玄通子氏が創設した日本の正統な仙道流派である「仙道連」で長きにわたり修練を重ねた小野田氏の言葉は非常に重いと思っています。

当サイトにおいても、タオの目的は「老いの不安や死の恐怖を克服して健康で長く楽しく、生きる、今のこの生を味わい尽くす」と捉えていきます。

気功とは違うの?

タオと気功は同じ部分があります。

一般的な気功の修練は、タオの修練に当てはめると「築基」に当たります。

但し、気功を称する流派には、タオ同様の修練を行っている流派も多いです。

これは、中国で気功という言葉が生まれたのが比較的近代のことでありますが、現代においては中国においてもタオ、仙道、内丹術という言葉より気功という言葉の方が市民権を得ているという事情があると思います。

文化大革命などの政治的な背景も絡みますので、この辺はまた改めて記事にいたします。

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